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2016.05.22

ボクらの時代 本谷有希子×若林正恭×村田沙耶香 純文学とエンタメ(抜粋)

作家仲間から「クレイジー」と言われる村田沙耶香
本谷:こうやって話してるとさ、眼をこうやってスーッと見てくる。
    この眼がすごい恐怖をはらんでない?(笑)いつも思うんだよね、なんか
若林:よく周りの作家さんに言われるよね、クレイジーって
村田:目が悪い、周りをジーッと見ちゃうから。
本谷:何を見てるんだろうと
若林:誰に聞いたんだっけ?男の人と付き合ってて周りの事やってあげて、
    その人がダメになってくの観察してたんだよね。

村田:観察とかじゃなくて、恋人同士の密接な関係で、
    ものすごいイエスマンと一緒にいると
    人間は壊れてしまうって話をしたことがあって。
    相手がおかしいことを言い始めたり行動が奇怪になってったりして、
    壊れてしまうんだよねって言ったら「壊れた人創りマシン」みたいになって
    悪く広まってる(笑)

本谷:怖い人って
村田:殺人の話が多いから(笑)
●出会いは対談
本谷:5年ぐらい前に若林さんと対談させていただいたことがあって
    「こんなこと悩んでる人なんだ」って印象の人だったの。
    変なことばっか聞いてくる(笑)「いい家に住むことってどう思いますか?」とか
    ちょうどそういう時期だったんですかね
若林:テレビの仕事もらうようになって、急にお金もらうようになって、
    お金ない時って自分を落ち着けるために「世の中はモノじゃないんだ」って
    思わせてあげないと耐えられなくて「物質主義に反逆してるかっこいい人」だと
    思ってるから。
本谷:自分を?
若林:そう。うまいもんとか食ってみたいって気持ちでワーっとなってたから
本谷:いいところに住んじゃうと、俺がダメになっちゃうかも知れないってことを
    言ってた記憶がすごいあって。
若林:そうですね、そうですね
本谷:実際いいとこ住まれてるんですか?
若林:割といいとこですね。追い焚き機能も付いてるし(笑)エアコン2台付いてるし。
若林:お金ってどうですか?/ネタはいつ書く?
若林:本ってやっぱ、当たると入ってくるんですよね。
本谷・村田:全然たいしたことなーい
若林:そういうもんなんですか
本谷:昔作家さんに言われたのが
    「どうして純文学書いてるの?エンターテイメント書けば?」
     発行部数も桁がゼロ一個違う。ただ載せる雑誌が違うだけで
    村田さんって昔働いてたんだよね。ちゃんと会社で。

村田:会社じゃなくて、ずっとコンビニで働いて。今もコンビニでバイトしてる。
若林:それはなんで?
村田:コンビニがない日は、小説あまり書いてないんです。
   コンビニで働いてる日に猛烈に書いていて。働いてない日はすごいサボってる。
   じわっとバレて
   「村田さんはコンビニでもっと働かせたほうが小説書くんじゃないか」って
   店長さんにだんだん言われるようになった(笑)
   アイデアも、パソコンの前に座ってても浮かばないけど、レジ打ってる時に
   「ラストシーンああしよう」って浮かんでくるので。
   すごくコンビニに依存して、直さなきゃと思ってるんですけど。
   ないと書けない精神状態になっちゃってる。

若林:ネタの設定がだんだんファミレスになってくる。
    ペン持って公園歩くようにしたら、息が上がってるのか動くネタが多くなって。
    そっちのが今はいいなって。みんな出てくるタイミングがあるんですね。
本谷:ワーって書いたコントの方が面白いですか?
若林:そのほうがいい傾向にありますね。短時間で書いたほうが。
    長い時間かけて書いたのって面白くないんだよな~
本谷:劇団→小説ってずっとやってて、
    これどっちかに絞ったら作るものが変わるんじゃないかって。
    2年半前に一度劇団活動を休止って形をとったんだけど、
    実際芝居をやってた時の方が、やっぱり、書く。書いてた。
    枠がなくなった途端、だんだんズルズルめんどくさくなってくる(笑)
    大変なんだよ。机に自分を向かわせるエネルギーって。すごく大変。
    ずっと書いて捨ててた。60点近く書いて捨ててて、妊娠が分かって。
    編集者の方に報告したの。そしたら真っ青になって、
    「10月が出産予定日だから、8月までに書かないと
    次いつ出せるかわかりませんよ。もう小説書けなくなるかもしれませんよ」
    脅されて(笑)それまで締め切りで書くことを疑ってたの。
    締め切りによって書かされてる作品ってどうなんだろ、って思ったんだけど
    締め切りが最初の労力になるってわかった。

    プロット派ですか?見えてる?行く先が?
若林:春日さんのことすごい考えなきゃいけないんですよね(笑)
    コントって、おばさんとかおネエとかってあるけど、自分以外の人間の気持ちが
    書けないんですよね。1本も書いたことなくて。
    相方が何で怒るかな、自分が何で腹立つかなってことから考えて。
    おじさんじゃないですか、春日って(笑)
    なんでこんなにこいつのこと考えなきゃいけないんだってとこから始まる。
    だからエッセイしか書けない。女の気持ちとか絶対書けないし。
    小説は絶対書けない。自分以外のことをかけないって思った瞬間、

    なんかサイコパスなんじゃないかって。人の気持ちがわかんないから。
    ヒヤッとしたことはあります。

本谷:でも春日さんのことは書ける
若林:相当悪く書けるんじゃないか(笑)
    
 

●子供の頃
本谷:根が結構苦悩しなくって。
若林:昔からですか?
本谷:活発すぎて、反抗的すぎて。少女の頃から。父兄が来て
    「本谷さんとうちの子を友達にさせたくないから先生見ててください」

    私と仲良かった子が、1学期の間に成績がズルズル下がって(笑)
    いろんなこと考えて。授業中断させたりとかあの手この手で。
    ある日アナウンスで「給食は座って食べてください」
    あたしみたいなのは「理由がわからない」友達誘って走って食べる(笑)
    それを先生が追いかけるみたいな。
村田:カッコイイ
本谷:言われたら反発したくなる。理由が腑に落ちないって
    なんで勉強しなきゃいけないんだろう、
    なんで先生って人たちは教壇に立って私たちに偉そうに言ってるんだろう。
    この人たちは私たちがはいはいって聞くような優れた人間なのだろうか。
    村田さんは?すこやか?
村田:いや。すぐ泣いちゃって。大玉送りの大玉を
    「これは先生が頑張って作ったから大事に扱ってください」って言ったのが
    忘れられず、ものすごく大事に運んでたら遅すぎて、
    予定の運動会が一時中断みたいになって(笑)
    でも先生が大事って言ってたからって思って。
    大人から見たら神経質すぎて怖いだろうなって。
若林:本書くって、承認欲求が多少人より多めで始まるような気がするんですよね。
    最近エッセイ書くのが恥ずかしくって。
    自分のことだからよく書くに決まってるじゃないですか(笑)
    嫌な面も出すけど自分で書いてる以上「まろやかに書いてるよなこれ」
    で、締め切りすぎちゃう。

命の連鎖はコインゲーム。
子供にお金流して、その子供もお金流して。
悲しくないコインゲームだなって(本谷)

後編
ないのかよ。あ、来週は3人とも昭和43年(1968)生まれ。
自分の一学年下。森口博子、荻野目洋子、武田久美子。2016年、48歳。
    

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追記 2016.7.19
芥川賞は村田沙耶香「コンビニ人間」に。
18年間コンビニでバイトする女性の話。うむ、自叙伝?
文学界2016年5月号に掲載

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